読書案内 ~お勧めの図書~
発達障害だけでなく、特別支援教育、さらには「福祉」や「教育」、「陣害」という問題についてさらに詳しく栄びたい方のために、参考となる書籍を選んでみました。専門書ではなく誰にでもすぐに手に入る安価な本ばかりですので、参考にしてみてください。
『こんな夜更けにバナナかよ』… (渡辺一史著、北海道新聞社)
まずは、『こんな夜更けにバナナかよ』 (渡辺一史著、北海道新聞社)です。この本は、治療が困難といわれている進行性筋ジストロフィーを抱えて、人工呼吸器がなくては生きていけない鹿野靖明さんの物語です。ちょびりエッチで強気な鹿野さんと大勢のボランティアの交流の記録です。
欲望むき出しの鹿野さんと常に自分の生き方を問われるボランティアの葛藤が描かれています。夜中にお腹がすく、健常者なら冷蔵庫かなんかを開けてバナナの一本でも食べでまた寝る、こんな当たり前の生活を障害者はできない。やろうと思えばボランティアをたたき起こしてバナナを取ってもらわないといけない。いくらボランティアでも、「こんな夜更けにバナナかよ」とも言いたくなる。
ここに強者と弱者の関係がおのずとできてくる。だからこそ、教育や福祉というサービスを行う者は、常に障害者の立場、すなわちサービスを受ける者の側に立って考える癖をつけていないと偽善者となるのではないかと、考えさせられた本です。
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心理学や大脳生理学の基礎知識、特に記憶や学習について解説した5冊の本
次に紹介するのが、『ライフサイクルからみた発達の基礎』(平山論、鈴木隆男編著、ミネルヴァ書房)、『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』(茂木健一郎著、PHP研究所)、
『シロクマのことだけは考えるな!-人生が急にオモシロくなる心理術-』(植木理恵著、新潮社)、『グラフィック 認知心理学』(森敏昭、井上毅、松井孝雄著、サイエンス社)、
『記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』(池谷裕二著、講談社ブルーバックス)の5冊です。
この5冊は、心理学や大脳生理学の基礎知識、特に記憶や学習についてわかりやすく図や絵をたくさん用いて解説した本です。なぜ、私が聴覚的短期記憶の重要性を強調するのかのバックボーンカがここにあります。
また、私は10年以上前から「アメとムシ」と題して講演をしてきました。科学的実験を例に同じことを植木理恵さんは言っています。硬軟取り揃えてラインナップしてみました。全部揃えて学宵することをお勧めします。
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現在の発達障害、愛着障害についてわかりやすく興味深く書かれている4冊の本
最後に紹介したいのが、『発達障害のいま』 (杉山登志郎著、講談社現代新書)、『子を愛せない母 母を拒否する子」 (ヘネシー澄子著、学習研究杜)、『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』 (岡田尊司著、光文杜新書)、『特別支援教育 多様なニーズへの挑戦』 (柘植雅義著、中公新書)の4冊です。
杉山登志郎さんの本は、発達障害について現代的な問題も含めてコンパクトにわかりやすく説明されています。ヘネシー澄子さんと岡田尊司さんの本は、愛着障害についてわかりやすくかつ興昧深く書かれています。発達障害と愛着障害は症状としてはとても似ているものですが、対応は全く違うものであり、現時点では混乱している状況があるのではないかと私は考えています。教育や児童福祉などに従事する者は、発達障害とともに愛着障害について正確な知識を持つことが大切ではないかと思っています。
柘植雅義さんの本は、特別支接教育について最新のデータとともに現状を解説しています。今後の方向性についても書かれており、多くの示唆を得ました。
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この読書案内を書くために確認した本は、200冊に及びます。しかし、こうして最終的に選んだ本を改めて眺めてみると、結局は私がいつも机に並べている本となりました。これらの本は、私の座右の本といっても過育ではありません。自分の頭の中を見せるようで恥ずかしいのですが、読書案内としてここに示します。
竹内吉和の著書のご紹介